背景のクオリティが映画演出に齎す意味:天気の子4ヵ月遅レビュー①
天気の子。
くっそ人気爆発したよね。
今でも天気の子のワードが出るとすぐTwitterにトレンドで上がりますよね。
久しぶりに新海誠監督の作品見たけども。
まぁエモい。
程よいボーイミーツガール。
アニメ映画としての完成度。
相変わらずの背景画。
協力なバックアップの企業。
現実的世界観に漂うセカイ系エッセンス。
僕は今でもあの世界観を忘れられません。
今でも映像の一コマ一コマが思い返せるほどです。
でかいスクリーンで楽しめる
そりゃね。
映画館に初日から4日で6回も足を運べば、そりゃ覚えます。
だって、どこでもでかいスクリーンばっかりで公開されてるんだもの。
でかいと音響設備もいいのが多くて、迫力が出せます。
聴き比べもしたいから、6回も見に行ったのもあります。
いやもうこれ年末に喋るモノじゃないよね。
天気の子のすごいとこ
背景が動くんです。
え?
だから何だって?
アニメの!背景が!動くんですよ!?
すごいことなんですから!
実写とアニメの違い
まず、実写とアニメで大きく違う箇所として。
3次元か2次元か、という違いもありますが。
それを、実際に撮るのか、描き上げるのかの違いの方が一番大きいんです。
例えば、俳優がカメラを前に振り向く演技をするのに。
アニメではそれを一コマずつタイミングを変えた絵を用意します。
それはつまり、カメラが動いてオブジェの角度が変わるなら。
アニメは同じ絵を撮るのに、背景もその角度が変わったイラストを何枚も、キャラの立ち絵と別に用意しなければいけません。
めんどくさっ。
気が狂うわ。
背景の描き方が映画
で、天気の子では、その面倒くささMAX天空ペガサス盛りな作業をしてるシーンが多いんです。
新海誠監督は、PCゲームの「ef」シリーズのOP映像を手掛けたことも有名ですね。
あの頃から、監督は背景をパーツにして分割し、それぞれをスライドして背景の立体感とコストダウンを確立してたんです。
例えば、空に描かれた雲と太陽があって、今まではその3つが少しずつ動いていく表現がしたいとして。
新海誠監督は、それを切り絵のようにそれぞれ用意して、動画ソフト上で移動・拡大・縮小を掛けてそれぞれのパーツが動く様を表現したわけです。
また、3Dのポリゴンに廃ビルの画像を貼り付けて、少しずつ回転させることで主人公が廃ビルを登るときの立体的なカメラワークを再現したり。
ここまで立体的になると、拘らなければいけない部分も増えてきます。
音響です。
音響も映画に相応しい
映画の音響は、効果音が前から後ろに抜けるような表現が基本です。
前3つ、後ろ2つに音源を配置して、低音のデータもサブウーファーに分ける事で広がりが出る。
これが、いわゆる5.1chサラウンド(3Front、2Rear、SubWoofer0.1)です。
劇中でも、花火大会を空中から映すシーンでは、花火が炸裂する中をカメラが前に進むと、爆発音がどんどん後ろに抜けていくんです。
そのシーンも、建物が3Dポリゴン化されているために、カメラワークが立体的にビル群を抜けていくんです。
映像が立体的に動くと、効果音も立体的にする必要がある。
左から右に、前から後ろに音出しさせるんです。
そのおかげでより映画館らしさがぐんと増しますので、没入感もより深まります。
アニメの背景は、一枚のイラストを置いてその上でキャラが描かれたものをパラパラ漫画よろしくめくる訳ですが。
それではカメラが動かないので、音響に立体感をもたせられません。
だからか、アニメ映画は小さなスクリーンで上映される事が多いように思います。
天気の子が公開されたスクリーンが大きい部屋ばかりだったのは、音響やカメラワークがまさに実写の映画そのものだった。
その影響が大きいのかもしれません。
あとがき
公開から5ヶ月近く経って今更レビュー。
おそ過ぎもくそもないですな。
ただ、やっぱり言いたいんですね。
何か、こう言う制作の面でのレビューもあっていいんじゃないかな、と。
レビューはまだまだ続きます。